【レポート】日米家賃指数の推移

消費者物価指数の家賃指数を日米で比較してみました。 消費者物価指数の住居費のうち家賃は米国は約96%、日本は約86%のため、居住費の推移で日米家賃の変動を比較したところ、直近10年間(2013年1月~2023年6月)の米国の変動率は約46%上昇に対して、日本は2%の上昇でした。 一方、同一期間のJ-REITの共同住宅の平均CRの推移を確認すると5.4%から3.9%に低下(価格はCRの低下で約37%上昇)していますので、金融緩和により、不動産価格は上昇するが、日本の家賃は米国のように上昇しないことが確認できます。 これは、米国の賃貸借契約が定期借家契約のため、期間終了毎に、経済情勢に応じて賃料が変動することに対し、日本の賃貸借契約は、地代家賃を統制している借地借家法の普通借家で契約されるため賃料の硬直性が極めて高いことが理由であると思われます。日本の家賃は、今後も借地借家法の普通借家で契約されることや現在の賃貸マンションの供給過剰な状況を勘案すると、現在の日本の家賃水準が米国の家賃水準のように今後上昇することは想定し難いと思われます。 消費者物価指数に占める住居費のウエイトは、米国で約35%、日本で約22%であり、家賃の変動率が消費者物価指数に与える影響は非常に大きい。家賃が上昇しない日本においては、賃金の上昇圧力が弱いため、賃金上昇を伴う形での物価上昇には、家賃が上昇する仕組みが今後不可欠であると思われます。

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